第二次世界大戦の解説

スターリンの演説 ~モスクワ防衛戦~

 1941年6月22日午前3時15分、ドイツ軍は一斉にソヴィエト連邦領内に侵入した。

 突然の大規模な奇襲攻撃を受けたソ連軍は混乱し、各地の赤軍は壊滅状態に陥った主要都市のキエフやハリコフは次々と陥落し、レニングラードが包囲された。ドイツ軍はモスクワの眼前にも迫っていた。

 1941年11月7日、24年前に十月革命が起きた日にスターリンは軍事パレードと演説を行った。モスクワ攻防戦の真っ最中のことである。

スターリンの演説(1941年11月7日、抜粋・意訳)

 同志諸君、我々は今日、困難な状況の中で十月革命の24周年を祝わねばならない。

 ドイツの野蛮な盗賊どもによる裏切りの攻撃と、彼らの仕掛けてきた戦争が、我が国に脅威をもたらしている。現在、我々は領土の一部を奪われており、奴らはレニングラードとモスクワの門前に迫っている。

 敵は最初の一撃で我が国が膝を屈したと考えているようだが、それはまったくの誤算である。我らの軍は勇敢に戦い、敵の攻勢を退け、敵に甚大な損失を与えている。敵を叩きのめすため、国全体がひとつになったのである。

 我々の人的資源は無尽蔵だ。23年前と同じように、偉大なるレーニンの精神が我々を奮い立たせる。

 同志諸君、赤軍の兵士たち、指揮官、指導者、男女ゲリラ兵の諸君よ。諸君は世界中から注目されている。諸君はドイツ侵略軍を撃退する力を持っている。侵略に屈服し、支配下で奴隷となったヨーロッパ人は、諸君を解放者として頼みにしている。

 解放という大きな使命は、諸君に課せられた宿命である。この戦争は、解放のための正義の戦争である。偉大な祖先の勇ましい姿を思い浮かべ、自己を奮い立たせるのだ。

 偉大なるレーニンの勝利の旗を掲げよ。ドイツ侵略軍に破滅を与えよ。占領軍に死を。祖国の自由と独立に栄光あれ。レーニンの旗の下、勝利に向かって突き進むのだ。

モスクワ防衛線

 演説から8日後の11月15日、ドイツ軍は大規模な攻勢に出た。ドイツ軍はクレムリンまで25kmに迫ったが、ソ連軍の激しい抵抗によって攻撃は頓挫した。

 加えて気温が零下20度まで下がり、ドイツ軍の車両が動かなくなった。空軍も出撃不能になり、ソ連空軍が制空権を奪った。

 11月30日にはソ連軍が大規模な攻撃を仕掛け、ドイツ軍を押し返した。翌年1月まで続いたモスクワ防衛戦におけるソ連側の犠牲者は65万人以上にもなった。